『カラフルな猫』/あらすじ
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「始まらなければ、終わらない」
いつの頃からか、その言葉を糧に生きている女がいる。
駅から少し距離のあるカフェで、オーナーとしてその街にどっぷりと浸かっていた。
3階の客室には、いつの間にか男が住む。確か、「終わった」男だったはず。
もう始まることのない絶妙な距離にもいつしか慣れ、今日も、女がオークションで一目ぼれしたソファーで丸くなって眠る。
バイトの女は、オーナーと男の関係にため息をつき説教したがる。
しかし、彼女にはそれだけの経験とスキルは持ち合わせていない。耳年増でウブな子だもの。
女の妹は、恋に恋するお年頃。常になにか「始まらないか」と胸を躍らせている。
一所に落ち着けない彼女は、姉の生活が不思議で仕方ない。
生まれも育ちもこの街の酒屋の男は、、猪突猛進。現実主義なくせに、実は誰よりロマンチスト。
オーナーの女のすべてに恋焦がれ、しかし想いを届ける勇気もなく、不器用に枕を抱き、今日も眠りにつくしかない。
そんな五人が気ままに、半端に、バラバラに、そしてなにより臆病に。
気づくと肩を寄せ合い安堵する。
まるで気ままな猫のような暮らしを送る、そんな5人のある日を盗み見するようなほんのひととき。
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